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Interview #006

「かってば」の管理人【後編】

2020.02.21

ものづくり村インタビュー第3弾は「かってば」を運営する佐野さんです。足寄のお母さんたちを中心にコミュニティが広がってきた「かってば」ですが、最近は複数のコミュニティが「かってば」を利用するようになり、出入りする人々や空間の利用方法も様々。また、2019年秋には「ものづくり村」がグッドデザイン賞を受賞したり、その他にも様々なメディアでの露出機会が増え、確実に認知拡大が進んでいるようです。その一方で、様々なニーズを想像しながら運営体制を整えるのに試行錯誤する佐野さん。後編では、現在ものづくり村に集まっているコミュニティのことや、今後様々なコミュニティを受け入れながら「かってば」をどんな風に成長させていくのか、佐野さんのビジョンについて伺いました。

複数のコミュニティの拠点として成長する「かってば」

佐野さん最近ものづくり村に色んなコミュニティが集まってくるようになりました。まずは、ものづくり村ができる前から僕も参加していた「あしおこし隊」という生産者のグループ。石田めん羊牧場の石田さん、しあわせチーズ工房の本間くん、短角和牛生産者の北十勝ファーム上田さん、飼料を工夫して良質なホルスタインの肉を作りながら畑作もやっている、ひだまりファーム沼田さんなど、地域の生産者が集まって、ここ数年あれこれやっています。最近は「かってば」を「あしおこし隊」の打ち合わせやイベントスペースとして使っていて、こんな風に、ものづくり村ではない、別のコミュニティがここを拠点に使ってくれていることに、新たな可能性を感じています。この前は「あしおこし隊」主催で、食のイベント「かってばる」を開催しました。

杉原あ、「かってばる」についてもう少し詳しく…!みんなで食材を持ち寄って食べるイベントでしたっけ?

佐野さん正確には生産者の人たちが自分の食材をつかった料理を持ち寄って、みんなで単価をそろえてキャッシュオンで販売して、お客さんに食べてもらうんです。あくまでも生産者であって料理人達があつまるわけではないのですが、今後は、足寄の様々な飲食店と協力をして、共通のチケットを作って町中全体でそんなイベントをやってみたいです。その時には「かってば」がバルの本部として機能すると思います。ただ、やはり多くを巻き込むのは時間がかかりそうで。

杉原いいですね、!スケールが大きい。そもそも「あしおこし隊」はどうやってはじまったんですか?

佐野さんこれは、生産者の人たちが自分たちのブランドを確立して、他地域に食材がたくさん流れていくようになったのですが、自分たちの暮らす地域で、あまり自分たちの食材を食べてもらえていない、ということについて問題視し始めたのがきっかけでして、町中でビアガーデンを企画して自分たちの食材を地元の人たちに食べてもらうように、と始まったのです。

杉原やはり北海道は食関連の生産者さんが多いから食のイベントも作りやすいのかな。地域の食材ブランドが地域外の消費者に対して成功をおさめて、改めて地域に目を向けるところがよいですね!そういえば、コウケンテツさんもこの前「かってば」に来たとか聞きましたけど、どんな経緯でしたか?

佐野さんあの時は、コウケンテツさんが石田さんと本間くんの食材を取材に来ていて、現場で取材した後、ここで彼らの食材を使って料理をして振舞うという企画でした。石田さんが会場にこの「かってば」を推薦してくれて思わぬ機会を得られたんです。
最近は様々な人たちが各方面からやってきてくれるようになって、今度は、道東広域に在住するクリエイター達のグループがあるのですが、彼らがものづくり村に集まって合宿をするんです。

杉原なるほど。「かってば」が色んな人たちの「拠点」になりつつあるのですね。外部団体がここに集まってきて、ここで新しいものやアイデアを作り出していく。ちなみに、クリエイターグループはどんな繋がりで、、?

佐野さん今回の繋がりは運営委員の儀間くんだと思いますが、ものづくり村のメンバーが行く先々で色々な知り合いをつくって、それがきっかけで新しい出会いに繋がっていくことが多いです。

杉原あと、そこに貼ってある賑やかなポスター、三ツ町計画というのもあるんですか?ビールを作っている三ツ町商会の活動ですか?

佐野さん三ツ町商会もやはり「産地の食材を食べながら産地のビールを飲む」というビジョンから始まっています。町の人に産地の食材を食べて欲しいのもあるし、外に人に対して「産地に来てもらいたい」という思いが強いです。ネット通販とかで買うのではなく。それで、食とセットで「アクティビティ」とか作りたいねと話しています。

三ツ町商会のメンバーは若手と言われてはいますが、30代後半が主力で、地域での生活も長くなり、だんだんと“若い感覚”や“都会の感覚”が薄れてきています。地方にない感覚を地方出身の方たちと繋がりを持つ事で、地方と都市、主観と客観を兼ね備えたコミュニティを作っていきたく始めたのが三ツ町計画です。 その方たちが、帰郷した時に、顔と顔を合わせて出会える場としても、ここはいい場所でありたいと思っています。情報受けるのも発信するのも、ボクやここを通してもらう事で、ここが地域情報のハブとして、もっと価値のある場所になっていくのかなと思っています。

認知拡大速度と運営体制を整える速度のバランス

杉原「かってば」が実際にいろんな方々に使われはじめて、認知度も広がっていってるようですね。地域の外からはどんな人が来てますか?グッドデザイン賞もとったし、建築をみにくる人が多いですか?

佐野さんグッドデザイン賞の影響はもちろんですが、建物だけじゃなく、いろんな方面から興味を持って来てくれていて、ものづくり村の取り組み自体にも関心をもってくれる人たちが結構いるんです。

杉原そういう方は、どうやって知って訪ねてこられるのですか?

佐野さんFacebookとかSNSを見てやってきてくれる人が多いです。あとは、十勝の地域おこし協力隊の人が見にきて情報を広げてくれたり、ここの机や椅子をつくっている津別の山上木工さん関係でも来てくれたり。
それから、シェアキッチンという名前を出しているので、ある日、誰も介さずに一見さんの女性がやってきて「ここでケーキ作りできるかな?」という相談されたこともありました。実際には設備的な条件が合わずに実現しなかったけど、そういう一見さんもこれまでに2人ほどいました。

杉原結構なスピードで広まっていますよね、ものづくり村。実際、このスピード感は佐野さんにとってどうなのでしょうか?

佐野さんそこまで大きな広報活動をしていないにも関わらず、「これだけの人が来るんだな、注目されているんだな」いう驚きと嬉しさはあります。ただ、僕の中でもどんな用途でどんな風に使えるというのが、まだ手探り段階なので、いきなりワッと来られていろんな要望や質問がきても対応できないと思うんですよね。だから、徐々に徐々にというスピード感が良いかなと思っています。
例えば、大きく広報して名前となんとなくの情報がワッと伝染して、何の施設かわからないまま、大勢の人がここにやってくるとしたら、今の僕ではすべて説明しきれないと思います。それよりも、じわじわと深度のある情報が伝わって、ここがどんな場所なのか大体わかっている人たちが集まってくるという方が、運営としてはやりやすいなと思います。
実際思っていた以上に感度の高い人々が足寄にもその周りにもいるので、そういう感度が高いひとが興味をもってきてくれるような情報発信や運営方針を考えていきたいです。

杉原今回訪問してみて、ものづくり村の人たち、自由に楽しそうにやってるなと感じました。結果を早く出さないと!という必死感がないというか。「ゆるやかな革命」というコンセプトの雰囲気は十分にコミュニティの雰囲気とマッチしてますね。
これからどんな問題が起こるかはわからないけれど、今は結構幸せな時期なんじゃないですか?

佐野さんまぁそうですね、はは。

杉原こうしてじっくりとお話伺えてよかったです。今後ともよろしくお願いします。

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