北欧やエコビレッジでの経験を活かし、

多世代の交差点を作りたい【後編】

坂口阿希奈さん

足寄町出身の坂口阿希奈さん、愛知、東京、足寄、デンマークを経て、愛知のエコビレッジで働かれていました。多世代多文化のコミュニティに興味関心をもって活動されてきた阿希奈さんは、これからものづくり村とどんな風に関わっていくのでしょうか。阿希奈さんの言葉の中に、現在のものづくり村のリアルな姿が浮かび上がります。

2回目の足寄Uターン、ものづくり村との出会い

阿希奈さん今年の2月かな、生活に負担がかかって体調を崩してしまい、一旦静養しようと足寄に戻りました。自身にとっては想定外でしたが 笑
北海道のことは向こうにいる頃から、いろいろ情報収集してたんです。町はどんな取り組みしてるのかな?とか足寄に限らずネットを使って探していました。

森川さん(取材陣)どうやって検索するんですか?私の場合、北海道新聞のLINEに登録していて、毎日北海道新聞の情報が流れてきますね。「エコビレッジ 北海道」で検索したことはありますか?

阿希奈さんあ、ありますよ!ローカルネットワークマガジンcolocalで情報を得る中でもいくつか出てきたと思います。それから、伊達に在るシュタイナー教育の学校や、道内の「森のようちえん」など調べたことがあります。
戻ってきた当初は、北海道東川町の取組みに興味があり、そこで暮らすことも検討していたので東川町へ出向き、行政でお話など聞かせてもらっていました。そんなことをしていたら、地元にものづくり村が完成しておりました。すぐに入るきっかけはできなかったのですが。

杉原たしかに「コミュニティスペース」って、扉をあける敷居が高いですよね。何かイベントがあれば訪れるきっかけになると思いますが。

阿希奈さん私の場合、最初は芙沙子さん(職場の先輩)に教えてもらってここに来ることになりました。芙沙子さんから「阿希奈ちゃんはどんなことがやりたいの?と話をされた時に「いつかマッサージで独立しようかな」なんて話をしました。

杉原あれ、エコビレッジじゃなくて、マッサージ師に…?

阿希奈さんいるかビレッジにいた頃に、健康予防事業の一環で、資格を取らせてもらっていたんです。
自分たちで運営している赤ちゃんのいるデイサービスに、フットケアサロンも開業し、高齢者や子ども向けに足のケアや体操、正しい爪の切り方等指導していました。それを活かして独立しようかなとか思っていて。
はじめは、芙沙子さんのゲストハウスでやろうかな?って二人で話してたりもして、そうしたら、「今度、ものづくり市があるから、そこに出てよ!」という話になり、「あたし一人では、ものづくり村にいけないです!」といったら「では一緒にコーヒー飲みにいきましょう」という流れでした。笑
実際は、芙沙子さんと来る前に、移住者で今年から地域おこし協力隊で活動されている「ちかさん」という方と打ち合わせで訪問したのが最初になりましたが。

杉原なるほど、!社会福祉、コミュニティ、多世代、健康、ボディーケア、繋がりますね。

ものづくり村は地元の人と移住者の相乗効果が生まれる場所?

杉原ところで、国内外でいろいろなもの・コミュニティ・場所などをみてきた阿希奈さんにとって、ものづくり村の印象ってどうでしたか?

阿希奈さん第一印象として、単純にうれしかったです。

杉原何か期待感がありました?

阿希奈さん期待しか、なかったですよ。

杉原おぉ…。どんな部分に期待感を感じられたのでしょう??名前?施設?それとも実際に集まってくる人々でしょうか?

阿希奈さんホームページでコンセプトをみて、すごく共感できるなと思ったんです。それから、日本仕事百貨(※ページ下部にリンク有り)が好きで、在学中から時々サイトをチェックしていました。そこに今年ものづくり村が掲載されたことも大きかったです。自身の興味がある範囲や感覚が近いということも、嬉しかった。

木村さん(運営委員) 実際、仕事百貨に掲載してから、「記事を読んだ」といって色々な人からコンタクトが来ました。僕はあれに刺さる人がきて欲しいなと思っていました。

杉原たしかに、仕事百科に自分の町のコトが載ってたら期待値あがりますよね。
阿希奈さんにとって、ものづくり村って「自分の活動の場」になりそうですか?それとも陰ながら応援したい感じ?

阿希奈さんどっちもありますよ。ここが面白くなると、自然にこの町での暮らしも面白くなると思うから、応援していますし、将来的に独立したい想いがあるので、そのための活動を広げる場になればと思っています。今年度はイベント企画運営としてお味噌作りを皮切りに、4月からは金継ぎ講座も開催予定です。色んな方が集う場所になってくれたら嬉しいと思います。

杉原ものづくり村が開村してから数ヶ月経って、人々の出入りが増えてきたと思うので、起業するならそういうネットワークを活かせそうですよね。

阿希奈さんはい、今のところは用事がある時に決まった人たちに会いに来るから、まだ新しい出会いって感じはないけれど、今後自分でイベントをやっていく内に、様々な人が集う場になりそうだなって思います。
それから、私がものづくり村を通して感じたのが、「足寄町を面白くしたい、と思っている地元の人たち」と「移住者」の相乗効果です。「かってば」と「バル」を掛け合わせた「かってバル」は、町内生産者さんたちの有志の取組みで、生産者自ら料理を提供したイベントですが、そこでも人々の相乗効果を強く感じました。「十勝の楽しい100人@はたらくものづくり村(足寄町)」というイベントも魅力的でした。あと、この前は、料理研究家のコウケンテツさんが来て、北海道や足寄町の美味しい食材・生産者さんたちを訪ね、ここで料理を振る舞う番組も放映されましたよね。なんかそういうのをみて今後もどんどん発展していきそうだなって、期待をしています。

その場所に来た人たちみんなが主役になるような場所

杉原僕も、開村以来、思っていたよりも早いペースで色々と動き始めているなと思います。「これからどんな人がどんな風にこの村を作っていくのだろう」ってワクワクしてます。阿希奈さんにとっては、ものづくり村って、ざっくりいうとどんな場所ですがか?

阿希奈さん私にとってはコミュニティースペースというような「文化が交差する場」というか、選択肢を広げる場のようなそんな位置付けで、まだ自分でもしっくりくる言葉に出逢えてないです。
今後は道外で活躍する絵を描く友人や、アクセサリーを作る友人の展示なんかも企画できたら嬉しいです。モノを通して人が交差したり、人を介してモノが交差したり。

杉原展示とかになると「イベントスペース」という言葉でも良さそうですか??

阿希奈さんいや、「コミュニティスペース」だと思います。「イベントスペース」っていうと、主催とお客さんと分けてしまう気がして、「その場所に来た人たちみんなが主役になるような場所」として、「主体的に関われる場所」になったらいいなという理想があります。だから、「イベントスペース」じゃなくて、「コミュニティスペース」って言いたいです。

杉原なるほど、「その場所に来た人たちみんなが主役になるような場所」っていうのは核心をついた表現ですね。阿希奈さんは、ここでどんなコミュニティをつくるのかな。勉強会とか?映画会とか?テーマ決めてみんなで研究とか、ファシリテーターとして活躍されそうです。

阿希奈さん私はその瞬間たのしいと思える場や、あたたかい場を作りたい気持ちが強いのかもしれないと思い始めました。毎日生きてたらいろいろあるじゃないですか、しんどいことも悲しいことも辛いことも。
でも幼い頃、障がいがある人も含めて皆んなが笑顔でいられるコミュニティがあったことが、何となく私の原点で。当時私は、社会ってこんなに笑って楽しい日々なんだって思い込んでたけど、大人になってから、現実はそんなこともなかったです 笑
手段や目的は何でもよくて、種まきをする活動ができたら嬉しいです。間口も広くして、色んなひとが混ざり合うことで思いもしなかったものがうまれたり、偶然の産物、そういうことが面白いと思います。最近はデザインと地域と暮らしに興味があります。

杉原では、そろそろ最後の話題に。こうして足寄にUターンしてきて、仕事もあって、活動の場所もあって。あとは、何があれば、長くこの町にいられそうですか??

阿希奈さんうーん、本質的な部分で話せる人、仲間ができたらいいなと思います。そういう仲間がいるかどうかが、コミュニティをつくっていく上で大事だと思う。そして、自分だからこそ、やれることをもうちょっとしっかり探していきたい。と思っています。
愛知にいた頃に、地元の繋がりがあるスタッフは、畑を借りることなどすごくスムーズなのですが、一方、私は立場的に役に立てることは何だろうと、自分のやれることにつて、もどかしく思っていた時期もありました。今度は、私が地元にいるからこそ、そういう繋がりの中で持てる役割があるのかなと思います。といっても、まだまだ地域の中で知らないことの方が多いので移住組に近い存在とは思いますが。笑

杉原確かに初めのUターンでは、夢などを語る人が周りにいなかったっておっしゃってましたもんね。それから、地元の人が動いてくれると移住組はとても助かりますよね。阿希奈さん、重要なポジションだ…。今、1時間くらいお話伺いましたが、すごくいろんなお話がきけました。これから阿希奈さんがものづくり村との関わりの中で、いろんなことをチャレンジしていく姿が見えました!楽しみに応援させてください。今日はインタビューを受けていただきありがとうございました。

阿希奈さんこちらこそ、ありがとうございました。

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